本記事では、筆者が応用情報技術者試験を受験し、独学メインで合格するまでの対策や、勉強過程で感じた実際の試験問題の傾向や特徴について書きます。
申し込み
3か月前くらいからipaの公式サイトをのぞき、スケジュールを随時確認。4月と10月実施で、合格発表はその約2か月後なので、4か月前からでもいいかも。
コロナの影響で申し込み期間が2週間に減っていて、筆者は申し込みを逃したこともあったのでスケジュール確認は入念に。
当日
午前、午後が2時間半ずつ(9:30-12:00、13:00-15:30)の長丁場で、昼休憩が1時間。
早起きが必要なので、前日の睡眠と目覚ましを忘れずに。
抜け出して食べるのは時間的に厳しいので、昼食を持参して会場内の教室か、屋外で食べることになります。(おやつとしては、筆者はラムネおすすめ。ブドウ糖のため)
弁当を持参するか、途中のコンビニでおにぎり、パン、サンドイッチや飲み物を買うといいですが、会場周辺のコンビニは非常に混みます。朝に事前に買うことを推奨します。
会場最寄駅からは、同じ試験を受けると思われる人が大勢、会場方向に歩いているはずです。最寄駅周辺のコンビニも混みます(昼に買いに行くよりはマシです)し、コンビニがあるかどうかは不明なので、買い物は自宅の最寄り駅近くで行うと確実です。
勉強・参考書
勉強法や対策について
- 応用情報技術者試験合格教本でその分野を深める
- 応用情報ドットコムというサイトで、過去問を解いて午前問+午後問題対策
- 午後問題対策本で、記述式の午後問題対策
使った参考書など
応用情報技術者試験合格教本:
試験のことだけでなく、純粋にその分野を深めるのにも役立ちます。分厚くてボリュームが多いです。
午後問題対策本(午後問題の重点対策):
記述の午後問題で、「問題文のどこをどう読んで、どこに答えやヒントが隠されているのか」、その思考回路や解答までの過程の導き方が存分に書いてあります。大問1問あたり、最大6回分が収録されているのでこれ1冊+応用情報ドットコム+(ipa公式サイトの過去問)で十分です。
午前問題
で解くのがもっとも効率がいいと思います。本番形式に近い感じのものが知りたい場合は、過去問をipaのサイトから閲覧するのもOK。
午前問は、問いくつがどんな分野の問題なのかが大体決まっているので(参考:下の引用表)、過去問を数年分解いて、問1-80までで正誤を記録し、どの分野が得意/苦手なのかを明らかにすると効果的です。
午後問題でどの分野を選択するかを構想する際にも、午前問の出来を参考にすることもできます。
また、午前問題は、問題文も選択肢の並び順も全く同じものが使いまわされていることも少なくないので、過去問を周回することは非常に重要です。
過去問をこなす回数の目安としては、10回分を3~5周すればいいかと思います。更新が早い分野なので、最新のテストから順にやるといいです。
午前問題の分野対応表など
- 問1-50 テクノロジ(T)
- 問51-60 マネジメント(M)
- 問61-80 ストラテジ(S)
各問の対応分野など
午前問題番号 おおまかな出題分野 午前問に対応する午後問題番号 T1-5 離散数学、応用数学
情報理論、基礎理論3:プログラミング T6-10 アルゴリズム、データ構造
プログラミング
コンピュータ構成要素
(メモリ、プロセッサ)3:プログラミング T11-15 コンピュータ構成要素
システム構成4:システムアーキテクチャ T16-20 システム評価指標、OS
ハードウェア4:システムアーキテクチャ T21-25 ハードウェア
ヒューマンインタフェース4:システムアーキテクチャ
7:組込みシステム開発T26-30 データベース
トランザクション6:データベース T31-35 ネットワーク
通信プロトコル5:ネットワーク T36-40 情報セキュリティ 1:情報セキュリティ T41-45 情報セキュリティ 1:情報セキュリティ T46-50 システム開発
ソフトウェア開発関連技術
構築、設計、保守8:情報システム開発 M51-55 プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント9:プロジェクトマネジメント
10:サービスマネジメントM56-60 サービスマネジメント
システム監査10:サービスマネジメント
11:システム監査S61-65 システム戦略、情報システム
業務プロセス、要件定義2:経営戦略、7:組込み
8:情報システム開発S66-70 経営戦略、ビジネス
マーケティング2:経営戦略 S71-75 エンジニアリング
経営管理
オペレーションズリサーチ2:経営戦略 S76-80 会計財務、企業と法務
知的財産、著作権
労働関連2:経営戦略
午後問題
記述式になり、一層応用力が求められる午後問題。午後問題専用の対策本で対策する価値はあると思います。(下は筆者が使った本の最新版)
記述問題は、回答の根拠が問題文中に入っていることが多いので、問が求めていることを把握してそのもととなる部分を問題文中から探す、それを回答にうまくはまるように修正する練習が有効です。
そのためには、過去問を解くときに下を意識するといいと思います。
- 問を読んで、問題文のどこをどう探せば答えのヒントに辿り着けるか
- 問は、どの事柄のどんな特徴、知識、事柄の名称、「教科書に書いてある基本的な知識、性質」を問いただしているのか
- 「問題文のどこをどう読んで、どこに答えやヒントが隠されているのか」、その思考回路や解答までの過程の導き方、応用力を習得する
午後問題の記述の答えのパターン
午後問題の記述問題は、正解を導くためのパターンがいくつかあり、代表例を挙げると
- 問題文中の適切な場所から、そのまま抜き出したものがそのまま答えになる
- 問題文中の適切な場所から抜き出したものを、形式や題意に合うように書き換え
- その分野の知識を駆使し、題意に合う単語や略語、名称を答える
- その分野の知識を駆使し、常識的で真っ当な答えをそのまま書く(教科書に書いてあるような、単語や名称、概念についての基本的な知識がものをいう)
- 問題文中の適切な場所を見て、そこから知識を使って正答を導く
があります。もちろん、上の特徴の合わせ技で解くような問題もあります。
各項の特徴や対策方法などとしては、
- 1は比較的やりやすいパターンで、過去問などの訓練で慣れることが可能
- 2は過去問練習の成果が出しやすく、「午後問題の重点対策」ではこのタイプの問題の対応力がかなり有効に身につく
- 3は単純にその分野への精通度や知識力が問われ、午前問の対策および「応用情報技術者試験合格教本」などで積み上げる。記述だけでなく、選択問題もこれに近い
- 4は3と近いが、問題文中にヒントがなさそう、または問題文は関係なさそうな場合に当てはまることが多い。記述だけでなく、選択問題もこれに近い
- 5は数字やプログラムを答える問題、項番や名称を答える問題が多く、大問別の対策をやりまくることをおすすめ。大問別ではプログラミングや、システムアーキテクチャなどがこのタイプが多い
があります。
午前問題の分野対応表など
午後問題番号 おおまかな出題分野 対応する
午前問題
番号問1(T)
情報セキュリティ情報セキュリティ T36-45 問2(S)
経営戦略経営戦略、ビジネス、マーケティング
エンジニアリング、経営管理
オペレーションズリサーチ
会計財務、企業と法務、知的財産S61-80 問3(T)
プログラミング情報理論、基礎理論
アルゴリズム、データ構造
プログラミングT1-10 問4(T)
システムアーキテクチャコンピュータ構成要素
システム構成
システム評価指標
OS、ハードウェアT11-20
(T21-25)問5(T)
ネットワークネットワーク
通信プロトコルT31-35 問6(T)
データベースデータベース
トランザクションT26-30 問7(T)
組込みシステム開発ハードウェア
ヒューマンインタフェース
システム戦略、情報システム
業務プロセス、要件定義T21-25
(S61-65)問8(T)
情報システム開発システム開発
ソフトウェア開発技術
設計、保守、
システム戦略、情報システム
業務プロセス、要件定義T46-50
(S61-65)問9(M)
プロジェクトマネジメントプロジェクトマネジメント M51-54 問10(M)
サービスマネジメントサービスマネジメント M55-57 問11(M)
システム監査システム監査 M58-60
午後問題の、大問ごとの簡単なイメージや他問題との親和性
- 問1:必須問題。知識も重要。対策は入念に。
- 問2:社会人は非IT系でもイメージしやすい。国語の問題と知識応用力系問題が混在
- 問3, 5, 6:分野特有の知識を使う問題が多く、その分野への精通がカギ。分野の知識と事前対策がほぼ全てで、対策が不十分なら当日は他問題の難易度に関わらず選択しない方がいいかも
- 問4, 8:いわゆる理系セット。事前の対策が大事。問4は数字をかなり使う。
- 問7:現実世界のシステムが対象なので、問題設定が万人にとってとっかかりやすい。文章からヒントを抜き出す問題が多め。
- 問9, 10, 11:「国語の問題」とも言われ、文章から答えのヒントを見つける問題が多め。ヒントサーチスキルは必要だが、分野特有の知識、対策は他分野より浅く済むので当日に他問題の難易度を見たうえで、いきなりこれらにチェンジすることも比較的しやすい
当日に他問題の難易度を見て、チェンジすることが比較的しやすいのは、問2, 7, 9, 10, 11。国語の問題は分野の垣根を超えやすく、分野への精通レベルはそれほど高くなくても何とかなりやすいです。
チェンジしにくいのは、問1(必須), 3, 4, 5, 6, 8。
5, 6はこの中でも特に独立している印象(3もどちらかと言えばそう)。対策が不十分なら最初から見ないほうがいいかも。この中でチェンジしたい場合、3,4,8からn問選ぶといったような感じで。
各大問の筆者主観による詳細な特徴
午後問題番号 | おおまかな出題分野 | 対応する 午前問題 番号 |
問1(T) 情報セキュリティ |
必須問題。知識も重要なので午前問のやり込みは有効。 略語や単語の名称、多肢選択問題、記述問題が バランスよく入っていることが多い感じ |
T36-45 |
問2(S) 経営戦略 |
幅広い知識が必要だが、国語の問題も多め 簿記など、知識の応用系問題もあり、 問題タイプはバランス型。午前問題の範囲が広く、 出題範囲や問題設定の幅が広い。 社会人は非IT系でも有利かも |
S61-80 |
問3(T) プログラミング |
プログラムの穴埋め(記述)が多い。 午前問での対策は難しく、専用の対策が必要。 プログラムの工数、計算量関連を問う問題も出る。 プログラミング経験のある人が有利 |
T1-10 |
問4(T) システムアーキテクチャ |
システム関連の知識をもとにして計算し、 数字を答える問題が多い。 電卓は使えないので、計算能力が必要 |
T11-20 (T21-25) |
問5(T) ネットワーク |
ネットワーク特有の問題が出る。 分野への精通がカギ。 出題範囲が読みやすいということでもあるが、 対策なしにいきなり当日解くなら他にした方がいい |
T31-35 |
問6(T) データベース |
データベース特有の問題が出る。 分野への精通がカギ。 出題範囲が読みやすいので、 最初から選択する、しないの判断を下しやすい |
T26-30 |
問7(T) 組込みシステム開発 |
現実にあるシステムが対象で、イメージしやすい。 文章からヒントを抜き出す問題が多め。 プログラムの条件分岐に関する問題も頻出。 選択問題の中で割と人気な傾向があるという印象 |
T21-25 (S61-65) |
問8(T) 情報システム開発 |
問3と問4を足して2で割ったような感じ。 分野への精通および、この問題専用の対策がいるかも。 当日選ぶか迷った場合は、 問3, 4, 7あたりが得意かどうかで決めるといいかも |
T46-50 (S61-65) |
問9(M) プロジェクトマネジメント |
文章からヒントを抜き出す問題が多め。 問9, 10, 11はいわゆる「国語の問題」と言われ、 文系の人に人気なんだとか |
M51-54 |
問10(M) サービスマネジメント |
問9と同じ感じだが、 計算して数字を答える問題もある。 問9, 10, 11は当日に難易度を見ていきなり選ぶことが 他の問題と比べてもやりやすい |
M55-57 |
問11(M) システム監査 |
範囲がそこまで広くなく、国語の問題になりがちなので人によってはとっかかりやすいかも。 この手の問題は対策時間が短くても、 当日の難易度次第ではそこそこ取れる場合も |
M58-60 |
最後に
応用情報技術者試験に合格すると、合格後2年分は高度試験の午前Ⅰの免除対象になります。
また、基本情報技術者試験はオンライン(CBT)になりましたが、応用情報技術者試験はオンラインではなく、公開会場に受験しに行かないと取れない試験ということは、それなりに難易度や重要度、価値が高いとされているということです。
(※コロナになっても現地かつ公開会場の年1-3回でしかやらない英検1級、数検1級、統計検定1級なども同様。記述式というのもありますが)
きちんと対策すれば、筆者のように独学がメインでも突破は可能です。是非あきらめずに頑張ってください。
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