英検1級の受験体験記

英語民間試験やグローバル社会の中で何かと話題になる英検。

 

この記事では、筆者が英検1級に1発で合格したときの体験を書きます。

受験理由

TOEICで900超えたので、もしかしたらいけるのではと思った

2019年6月にTOEICで初めて900点を超えたので(930点:L475、R455)、もしかしたら英検1級とれるのではないかと思い、さらに英検準1級取得から5年近くたっているので一念発起し、挑戦しようと思いました。

1級に対する特別な想い

それより上の級がないので1級は特別という想いと、数学検定1級を取ったことによりその想いがさらに強まったということ、さらには英検公式サイトなどでの英検1級に「英検の試験において最終目標」という言葉があり、「最終目標かあ・・・」と思いながら当時の自分の実力(TOEIC 930点)と相談して一念発起しました。

 

勉強には終わりはないことは分かっているものの、マイルストーンとしてそこに到達しておくことはやはりモチベーションが高いうちにやるべきだと思いました。

勉強

英検1級のための勉強

・難関といわれていた語彙パートを中心に3か月ほどの勉強開始。1次対策はパス単、英検HPの過去問3回分。単語は寝る前にベッドでゴロゴロしながら覚えました。同じ単語を通算5回くらいは見通すことで、あまり心的資源を割かなくてもいつの間にか覚えられる点では楽です。1発では覚えきれませんので、復習重視。

・TOEICをやりこみまくっていたので、長文とリスニングは過去問3回分のみ。英作文は文章構成力の練習と過去問3回分のみ。英検準1級の記憶と自分の実力頼りです。

・後ろの方でも述べますが、1次試験合格後は2週間、面接練習。トピック自体の知識習得とストーリー構成力を中心に練習しました。(2次試験も含めたトータルの勉強時間でもおそらく80-150時間ほど)

英検1級のための勉強ではなく、英語の学習方法

・大学で英語を話したり聴いたりする授業を取りまくる

・ゲームの英語実況動画や英語吹き替えアニメ、海外のニュースやドキュメンタリー、TED、メジャーリーグの動画とかを見まくる

・Discordというゲーム好きのためのチャットサイトで外国人とコミュニケーションしたり、文章を読みまくる

 

今はYouTubeなどの動画サイトやSkypeなどで英語を学習できるいい時代です。

英検1級の直前は英語版のキルミーベイベーを視聴していました。

 

こういった学習方法をしていたのでL, W, Sでは対策が少なくてもまあまあな点数をとれたのかもしれません。実際に英語を使って何かをやった経験は貴重です。

 

上の勉強法の難点を上げるとすれば、英検1級で出る上品な語彙力が鍛えにくい(海外のニュースやドキュメンタリーは除くが、話題や語彙がその分野に偏りがち)のと、フォーマルな場面での英語を鍛えにくいことです。(だからこそ語彙対策を特に力を入れ、面接練習と説得力ある文章やスピーチの構成は個別に練習しました)

1次試験

当日

小中高生がそれぞれ5,5,10%くらいいた気がします。

かなり難しくて苦難の時間でした。ライティングに30分かける予定が40分もかかってしまったり、それによって長文が塗り絵になったり、リスニングでリズムが乱れかけたりしました。当日終了後に中学生がネイティブ並みの発音で親と会話しているのを見て、英検1級は受験者層も選ばれしものだと思いました。それと同時に、「自分が英検1級をとるのはまだ早いかな」とさえ思いました。

 

(実はこの1週間前に前哨戦ということでTOEICを受けていました。英検1級1次試験の合格発表と同日に出た結果発表は950点(L495、R455)。)

1次試験結果

CSEスコア 2034/2550 (合格ライン 2028以上)

 

首の皮一枚つながりました。全セクションでバランスよく約7割の正解率でした。

受験することによって課題を把握するという点でも、やってみることが大切だと思います。

 

TOEICで問われる力の方向性と英検で問われる力の方向性はベクトルが違うことを実感しました。

TOEICリスニングで470点以上でも対策なしだと英検1級リスニングでは約7割~という印象。

過去問演習は大切ですね。

2次試験(面接)

1次試験合格後の対策

旺文社の「14日でできる」を使い、スピーチのテーマの背景知識の勉強および論理の組み立てかたの練習をしました。英語を話す練習は大学時代に英語を話す授業を取りまくったのと職場の英語研修があったのであまりしていません。勉強期間は文字通り2週間。

当日(準備時間)

年齢と希望受験地により、B日程に。男性と女性がだいたい半分ずつ。「この人たちはおそらく自分より高い点数であの激ムズ1次試験を突破してきたのにそれでも合格率60%くらいなのか」「自分は運よく1次を突破できただけ。チャンスをもらうことができた。今までの積み重ねがどれだけ通用するか、証明するぞ」と意気込みながら、必要事項を記入しつつ待機。「14日でできる」、「面接大特訓」、自作ノートを見ている人が多かったと記憶。

2次面接本番

自己紹介をし、簡単な会話をしました。人間が採点するので、これが意外と侮れない気がします。非常にいい感じにできたと思います。

 

5つの中から1つをスピーチ選択。ちんぷんかんぷんなトピックが複数ありましたが、その中に医療系のトピックで質問文や用語自体は全く違うが、対策本と内容や題材がほぼ同じものがあり、あ、これ「14日でできる」でやったのとほぼ同じだと思い、選択しました。

 

頭で思ったことが言葉に出てこない瞬間が何度かあり、賛成派で意見を2つ言って結論を言おうとしたところで時間切れ。結論を話すよう促され、話してスピーチ終了。

 

質問は5つも飛んできました。スピーチ関連が4つ、普遍的な一般論に対する考えを問うものが1つ。

 

質問は非常に聞き取りやすくて理解もできたので、自分から聞き返したり面接委員の方から論理の矛盾をつっこまれることもなく(正確には返答でカバーしきれなかった部分は追加の質問として飛んできた感じです)、迷いながらもそれなりにスムーズに進みました。

 

僕はあまりおしゃべりなほうではなく、言葉がペラペラ出てくるタイプでもないですが、返答は「まず自分の意見や結論を1文目で話し、その直後に理由、根拠、具体例を1-3文くらいで話す。あくまで質問「だけ」に対する応答と理由、根拠、具体例を必要最低限のみ話し、それ以外や足りない部分は相手に追加の質問ということでしゃべってもらう。そうすることで、相手との会話のキャッチボールが生まれ、コミュニケーションになる」という考えのもと行いました。

(だから質問が多めに来た、といえば確かにその通りです。ただ、余計なことを言って墓穴や論理の矛盾をつっこまれたくない、または話が脱線しないように、という狙いもありました)

(理系大学院を修了しているので上の答え方は学会などの質疑応答向きな答え方ではないことを自覚しつつも、自分に向いている話し方、答え方を考えた上でこの戦法になりました)

 

そんな感じで、

・最初の簡単な会話はいい滑り出し

・Speechはやや詰まったが、何とかまとめた

・質疑応答はまあまあうまくいった

 

という印象です。

 

これほど10分間が濃密で、矢のように過ぎていったのは記憶にございません。退出する際に自己紹介で言ったことについて面接委員の方が言及し、今後について励まされました。2年前に就職面接を経験している僕はそれで「根拠はないしよく分からないけど、これたぶん受かったやつだ」と予感。

2次試験結果

9日後、合格通知をインターネットで見ました。

 

合計31点。(合格ラインは25/40)

 

どう考えても高嶺の花だった英検1級に、過去の積み重ねと実力を全部使って手が届いた瞬間でした。

 

僕の勉強方法ではTIMEなどの雑誌で出る上級で社会性の高い英語は触れる機会が少なく、試験に絶対出なさそうなネットスラングや話し言葉に偏るので英語試験に合格する、いい点数をとる観点では最短距離ではないですが、英語の勉強方法は十人十色だといういい例だと思います。

最後に

僕は中2で準2級、大学1年で2級、大学3年で準1級に合格していますが、初めて準2級を受けた時から1級に対する憧れがありました。

 

英検1級に対しては、準2級取得時は憧れ、2級取得時は手に届かない存在という固定観念、準1級取得時は中期的な目標、という漠然とした思いがありました。

 

しかし、なんだかんだで英語を使って大学院で論文を読んだり、ネットで英語コンテンツを楽しんだり、特にTOEICのスコアアタックをして900点を超えていくうちに英検1級は「手に届く目標」として意識するようになりました。

 

そして、この記事で書いた通り、現実にしました。

 

このように、僕が英検1級を取得したことは自分の力で「夢、憧れ⇒目標⇒現実」という形で夢をかなえた、ということにもなります。

 

英検1級に挑戦、取得して手に入れたのは、英語力だけではありませんでした。

 

モチベーション、行動力、遂行力、非日常的な刺激。

 

挑戦してよかったなあと心から思いました。

 

 

長くなりましたが、本記事は以上となります。

お読みいただき、ありがとうございました。

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