日本でメジャーな英語のテストであり、受験者数が年間300万人レベルもいるTOEICと英検。
僕はTOEICは950点、英検は1級まで取得しましたので、それぞれの試験で求められる能力の方向性の違いを個人的な主観で書いてみました。
あ、大雑把に結論を言うと「速読のTOEIC、精読の英検」です。
リスニング
簡潔に言うと、基本と英語耳と情報の取捨選択を試しているのがTOEICで、抽象化、リテンションが高度に問われるのが英検といった印象です。
TOEIC
Part 1, 2
個人的に英語の基本、地力を問うタイプの問題
だと思っております。まさに基本といった感じです。英語耳、英語という言語の感性を習得しているかがカギになっていると思います。
Part 3, 4
ビジネスシーンや日常会話らしく、特定の部分に潜む必要な情報をうまくゲットできるかどうか、簡単に要約(というよりパラフレーズ)できているかなどが問われ、情報の重要度を瞬時に判断し、素早い取捨選択ができること
が英検1級以上に重要な気がします。TOEICがビジネス英語の試験と感じるのはこういうところです。
あとたまにかなり早口、または訛りのある声で話している問題が1問くらい紛れてたり、放送文自体が他より明らかに短いor長いのがあったり。(英検1級では、前者はPart 4, 後者はPart 1でよくあります。)
英検1級
Part 3以外はQuestionが問題用紙に載っていないので何が問われるかわからないので、高度な抽象化能力、リテンション(=記憶)能力が問われる感じがします。
Part 1
日常会話形式。TOEICのPart 1, 2, 3を全部ごちゃ混ぜにして高難易度にした感じ。
ネガティブな話題、どろどろとした話題が結構出てくるの、TOEICの世界観とは段違い。
Part 2
TOEICのPart 4を長くして質問文を問題用紙からなくし、ジャンルの専門性が高く、英語「で」勉強しているというレベル。英語ニュースを普段から聞いている人は強いと思います。(YouTubeなどでできます)
Part 3
英検1級のPart 3(リアルライフ)はTOEICのPart 4との共通点は多め
だと思います(レベルはTOEICの中の最難関レベルの設問か、それ以上に難しいと思う)
Part 4(インタビュー)
早口、訛り、文中での単語の発音のされ方(というより、繋がり方)、インタビュー特有の「間」など、ネイティブ対ネイティブの会話を意識して作られたような、まさに「実際に使いこなせるか」をテストしているかのような問題。問題作成者はレベル高いなーと思います。あれは座学とかで鍛えられるものでは到底なく、英語を聴きまくったor使いまくった経験が試されそう。
質問は8割以上放送分の大意が分かっていれば大丈夫な感じがしますが、たまーに木タイプ(該当部分を聞き逃したらアウトな問題)が出るので問われる抽象化、リテンション能力はTOEICとは段違いという印象です。(特に抽象化)
リーディング
一言でいうと、速読のTOEIC、精読の英検。
TOEIC
英検2級~難易度高めなものは準1級レベルくらいのPart 5、語彙文法問題、Part 6、穴埋め問題。
Part 5(文法)
だいたいテンプレ化していて、5秒で解ける問題が多めな印象。
語彙は覚える範囲がビジネス、日常がメインなので出会う頻度が多めな単語が中心。英検1級レベルの単語はほとんど見ず、難しめなやつでも英検準1級レベルくらい。ビジネス、日常で困らないかをテストしている感じ。
Part 6
半分くらいはPart 5の語彙、文法的なものを引き継いでいる感じ。(たまに文章全体の文脈から判断する必要のある語彙問題もあり、英語勘や経験値を試してる印象)
文補充は大抵前文か後文把握からジグソーパズルに入るやつを選ぶ感覚を個人的に持っています。
Part 7
圧倒的な量の英文から適切な部分を探し当てていくPart 7は、「まさにビジネス英語」という感じがします。ネット記事読んでて要点や必要な部分だけパパッと取ってくる能力を試しているのか、速読力を試しているのか、あと後半の複数文書では該当部分見つけたらその参照部分に飛んで、といった感じでたらいまわしにされる、(どうぶつの森とかで)又貸しされて取り戻すのに2度手間になる感覚が味わえます。参照参照また参照。あるある。
ビジネス文書やメールとかは大抵文章構成がパターン化しているので経験の多さは重要だと思ってます。
英検1級
英単語
英検1級は高尚で上品な雑誌や新聞、記事に出てくる難解と有名な単語(パス単さえやればなんとかなる。ソースは僕)が、非常に広範囲分野(政治、経済、環境、科学、教育、医療、国際etc)から出ます。英字新聞や英語雑誌、幅広いジャンルの(権威ある)英語記事を日常的に読みまくっている人でもなければ、対策なしだと無謀という印象です。
教養あるネイティブと社会性の高い話題を共有できるだけの語彙力を試している感じ?
空所補充と長文
読解能力と抽象化、概念化能力
がかなり高度に問われます。空所補充はTOEIC Part 6とは違って読解能力と抽象化、概念化能力がないとつらい印象。それでも基本はジグソーパズルみたいなもんだけど
長文は大体答えの部分が前後にあって、それを言い換えたものが正解になっている印象。
長くて専門的で、ピンポイントを問う問題と全体の大意、筆者の意見が問われてそのためには精読力で大意をつかみ、英語「で」知識や主張などを理解できているかが問われている感じです。
あとジャンルは政治、経済、環境、科学、教育、医療、国際などからですが、自分の好みの話題かどうかで正解率がわりと変わる印象です。少なくとも僕は露骨にそうでした。
こういうジャンルからの出題だと、英語だけはなくバックグラウンドの知識も使っているということですね。現実世界でもそうです。英語は手段で、メイン部分は他の専門性、ということは割とあったりします。
※補足:2019年10月時点で長文の配点重みは単語1問と同じです。
単語を重点対策すべき、と巷でいわれるのはこのことが理由です。
ライティング、スピーキング
英検1級にはありますが、TOEICはL&RとS&Wで別になってます。
僕はTOEIC S&Wはまだ受けたことがないので書けません。ご了承ください。
英検1級
ライティング
リーディング力を基礎力として、文章構成力、論理構築力。あとは社会性の高い話題に対しての知識、教養。また、英語を「使いこなす」能力。そういうのは外国人大好きです。
リーディング力がしっかりしていれば、文章やエッセイの型を習得したり適切な言葉遣いをある程度覚えればまあOKなのではと思います。
同じ単語、表現、文構造を使いすぎると文章として単調で稚拙な印象を与え、高得点が出にくいので注意(自戒を込めて)
スピーキング
リスニングとライティング力を足して2で割ったような能力が問われる感じです。重要度はL≧W>>Rという印象。
まず、聞き取れないものはしゃべれません。なのでリスニングは大事です。
ライティングについては、英検1級面接の場合は上で書いた能力をそのままスピーチと質疑応答に使いまわせます。
リーディングは、間接的、部分的に役立つところはありますが直接的に役立つところは少なく、重要度は低めの印象です。
まとめ
筆者の主観が混じりますが、TOEICと英検1級で問われている能力や問題の性質は大体以下の通りだと思います。
L:部分的内容把握でピンポイントを問うTOEIC、全体内容把握と高度な概念化、抽象化を問う英検1級
R:速読かつウォーリーを探せ系のTOEIC、精読かつ概念と内容を深く問う格式高い教養溢れる英検1級
SW:文章構成力、論理構築力と、何より実際に英語を使い倒す力(英検1級)
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